動き出した野心

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朝日が昇り始め辺りが 微かに明るくなりはじめた頃 慌ただしく松平兵が動いていた。 そこには 後に徳川四天王と評される 酒井忠次(さかいただつぐ) 本多忠勝(ほんだただかつ) 榊原康政(さかきばらやすまさ) 井伊直政(いいなおまさ) の姿もあった。 隊を並べ終わると 元康が前に現れた。 元康は松平兵と各将を 見渡すと口を開いた。 「我々は長い間…虐げられてきた。しかし…!それも今日まで!」 元康の口調は次第に強くなる。 「最早…今川に未来はない!此れより、松平家は今川家より独立する!!」 それは多くの者が 待ち望んだ言葉だった。 「殿…!」 忠次が拳を握り締めて 駆け寄ってきた。 「忠次…友に戦ってくれるか?」 忠次はすぐに跪(ひざまず)き 「この命、捧げる覚悟!」 と頭を下げた。
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