黄色い線

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こういうのには、なるべく関わらない方がいい。 喋りかけられても、無視だ。 本来は、見えないものなんだから。 何事も無かったかのように、俺は少女から視線を外した。 一度見ないようにしてしまえば、後は簡単だ。 「あんた、何であんなことすんのよ!轢かれて死んでも知らないよっ」 少女は、またもや怒ったように叫んだ。 俺は、小さな少女にあんた呼ばわりされた腹立たしさと、見られていたという羞恥心で、なんとも複雑な気分になる。 (なんなんだ、こいつは。やな霊だな) 引き続き無視を決め込む。 缶コーヒーと鞄が待っているベンチに早足で戻って、どっかりと座った。
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