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その日の放課後、正輝と倫子は用事があるらしく先に帰ってしまったので、私は一人で帰ろうと外に出た。
すると…――
「「あ。」」
アイツがいた。
アイツは私の方をチラッと見ただけで、そのまま水道へ向かった。
相変わらず、無愛想でムカつく奴。
私はアイツが顔を洗っている水道の横の柱にもたれかかった。
「朝はどうも。」
私はせいぜい嫌みに聞こえるように言った。
「……。」
なのに、アイツは無愛想なまま無言でタオルで顔を拭いている。
「教室から見てました。校庭で先輩が走ってるの。何年なんですか?」
答えてくれるかわからないけれど訊いてみた。
「…高2。茂野陸人。」
「まだ名前までは訊いてないんですけど。」
「どーせ後から訊くんだろ?」
めちゃくちゃ嫌みな言い方だったけれどちゃんと答えてくれた。
「どーも…。茂野ってメジャーリーグの元選手…でしたっけ?と同じ苗字ですね」
「あぁ。それ俺の親父だから。」
耳を疑った。メジャーリーグの元選手の息子がコレ!?ひねくれすぎでしょ!!協調性のかけらもなさそうだし!(って関係ない?)
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