満月

5/5
前へ
/62ページ
次へ
「明日の土曜日、運動公園に8:00に集合な。くれぐれも朝の8:00に来ないよーに。」 「あ、朝の8:00に来るわけないじゃないですか!」 この人、私をどんだけバカだと思ってんだ! 「お前、ホームに降って来たくらいだし、それくらいのドジするかもしんねーだろ。」 そんなこと言われたら、何も言い返せない! 私は過去の失態を恨んだ。 「ゔ…。…わかりました。明日よ・る・の!8:00に運動公園ですね。」 私は、ぶっきらぼうにそう吐き捨てた。 「そうそう。素直でよろしい。」 「うゎー!先輩ぶっちゃってムカつく!」 「先輩だから仕方ないだろ。今日はもう暗いから帰んぞ。危ねーから送ってく。」 「あ、そんな、良いですよ。」 いくら暗いからって、そんなに迷惑はかけられない。 「ダメ。一応、お前女だし。」 「一応って…」 「早くカバン取ってこい。」 「…はい。ありがとうございます。」 その日は先輩の好意に甘えて家まで送ってもらった。 私と陸人先輩を結びつけてくれた満月。 これからはもっと月が好きになりそうだ。
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加