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そうこうしているうちに、時はあっという間に過ぎてPM7:30になっていた。
「やっばい!」
バタバタと夕食をとって家を出た。
自転車で公園まで行き、走ってグランドまで向かった。
「遅い。」
案の定、陸人先輩はもう来ていて、望遠鏡の準備までしていた。
「す、すみません…。」
あぁ…私ってつくづくダメだな…
「まぁいーや。…あ。今日髪型違うじゃん。」
気付いてくれた!
しぼんでいた気持ちがムクムク起き上がってきた。
私って現金な奴。
陸人先輩は望遠鏡を覗いている。
私は、陸人先輩の後ろにいて、その大きくてたくましい背中を見ていると抱きつきたくなってしまう。
でも、私にその資格はない。
「おい。覗いてみな。」
「あ、はい。…うゎ…すご…」
初めて見た大きい月は、やっぱり静かに、でも明るく光っていて呑み込まれそうに綺麗だった。
「だろ?姫菜とは案外気ぃ合うのかもな。ホームに姫菜が降ってきてよかったのかもしんねーな。」
――…ストン…
背中で聞いたその言葉で私のストッパーが外れてしまった。
「…きです。」
「え?」
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