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「酔ったあ」
ぐてんと腕に絡み付く女を支えながら店の外に出る
ホテルに向かう前に煙草を買いたいが楓のいるコンビニには行きたくない
少し歩くが別のコンビニに行こう
「はーやーくー」
俺の思考なんてお構いなしに今日は行きたくない毎日通うコンビニに女は走っていった
「いらっし…いませ」
お店に入った瞬間に楓と目が合う
俺の顔を見た瞬間、一瞬だけ笑顔になった気がしたのに直ぐに視線は反らされた
視線の先にはベタベタと付きまとう女へと移る
最悪…
楓の表情はみるみる内に無表情に変わり下を向く
「楓?」
レジをして貰う最中も沈黙が重く思わず声をかける
「ありがとうございます」
にっこりと偽物の笑顔に頭を鈍器で殴られたような錯覚に陥る
初めて出会った警戒心丸出しの表情
否、それ以上に冷たい瞳
背中を向け俺の目の前から逃げる背中に声を咄嗟にかけたが頭を無意味
完璧に軽蔑された
心臓がドクドクと音を立てる
目の前が真っ白
自業自得だ
ギャーギャー喚く女の声が遠くで聞こえる
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