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艶やかな質感を持つ黒のメタルボディが、スモークの中から大地を踏み締めたのは、最初の騒動から三時間が経過していた。
それは、何も変わらない日常だった日々が一転した日だった。
「…きっ、貴様っ!」
羽根を持った銀色のカマキリタイプ異生物は黒のメタルボディに対して後ずさりをした。この街を制圧する。それだけが、カマキリタイプの異生物に能えられた任務だった。
「人を…街を…目茶苦茶にしやがって…」
黒のメタルボディは、ゆっくりと異生物へて向かった。辺りには、砂塵と真っ二つに引き裂かれた人間の姿がある。カマキリタイプの異生物は、後退りをしながら、両手に備え付けられた刃から衝撃波を放った。
黒のメタルボディは、それを片手で弾きながら、カマキリタイプの異生物に対して、フワッと近づいた。
「懺悔する気…あるか?」
その片手のまま頭を掴んだ。
「ざ…懺悔だと?我々、アンジェラ族が…何故、人間如きに…」
その言葉を聞いた瞬間に、掴んでいた頭部を地面にたたき付けた。そして、その頭部を何度も地面にたたき付けた。その数が十を越えた辺りで、黒のメタルボディは、カマキリタイプの異生物を投げ捨てた。カマキリタイプの異生物は、上手いこと受け身を取った。
そして、スモークが晴れてくると、両手の刃を磨ぐように擦りながら、黒いメタルボディを舐めるように見た。
「っ?!その胸に付けられた龍の紋章…まっ…まさか…貴様ぁっ!貴様の名前は…」
カマキリタイプのアンジェラ族という種族が叫ぶのに対し、その答えを、小さく呟いて答えた。
「俺の名は…」
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