第一話《破滅の呼ぶ者》

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渋谷の地下に建造された巨大研究所施設があった。そこでは、生命の生態や、地球、そのものの研究が日夜されていた。 サンプルとして、様々な種族を人為的に配合しては、結果を残すというの繰り返していた。 「サンプルデータ結果が出ました。」 絵に描いたような、たくましい筋肉を蓄えた中年所員が、書類が入った封筒をデスクに置いた。 室長として、この研究所の最高責任者である女性は、長い髪を横に降りながら書類に目を通した。 「どの結果も真新しさが無いわね。」 二十枚を越すデータ結果を、ものの数秒で見終わると、デスク脇にあるシュレッダーに紙を通した。 「実験とは…常に失敗は付き物です。」 「あら、武藤…けなした覚えは無いのよ?」 武藤と呼ばれた部下の顔を覗き込むようにして見た。 「室長。畏れながら…貴女が、こうだから部下に示しが付かぬのですよ。」 「ふふっ。」と室長が笑うと、腕を組んだ。シュレッダー脇には、ゴミ袋二つ分のチョコレートのゴミが入ってる。 武藤は、視線だけやるとワンテンポ置いてから、室長を見た。 「《あの日》には、時間が無いのでしょう?」 「そうね。早くて一週間…。もしくは…」 ペンを持ち、くるくると回しながら室長が話す言葉が、希望的観測であるか、楽観的観測であるかは、武藤には分からなかった。その先を打ち消すように、《ヴィンヴィンヴィンッ…》と、けたたましい音の警告音が鳴り響いたのだ。 「何事?」 デスク脇に備えられたモニタに、研究所員の顔が映される。武藤も、それが見える位置へと移動した。 『地上の気温が、渋谷のスクランブル交差点の一点を示し上昇してます!』 「ある一点…。まさか?」 『この場所を示す先は…、室長室の頭上軸になります。』 「まさか、バレていたというのか?」 武藤が、焦る顔をするのに対し、室長は淡々と指令を出し続けた。 「研究物の封印。それに、資材を万が一の時に運べるように対処。政府に援助要請。それに《ガーディアンズ》を現場に向かわせて。」 『り、了解しました!!』 通信が終わると、室長はモニターに、その場所を映した。昼時である為に人通り、そして、歯車を回るのを見ていた。
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