プロローグ

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プロローグ

幼い頃、紙ヒコーキを飛ばした記憶がある。 それは小学2年生の時。 小学校の屋上から飛ばした紙ヒコーキ。 山風に乗ったその紙ヒコーキは、ゆっくりと街に向かって飛んでいく。 それを眺めていた先に、黒い線と灰色の塵を巻き込んだ煙が天高く昇っているのが見える。 銀色の柵に顔を近付け、上空でヘリコプターが飛んでいることに気が付く。 目で追っていた紙ヒコーキはいつの間にか消えてしまい、街の向こうでサイレンがうるさく響いていた。 あっちの“町”は変な人ばかりいるらしい。 火災が起きても、“死者”は出ない。 爆発音が隣町から聴こえてくることはあるが、朝のニュースにはそんな報道はない。 なぜ?どうして? そんな疑問が、小さなあたしを悩ませる。 爆発音にびっくりして泣き出したこともしばしば。 この世界がゴジラにでも壊されてしまうのではないかとか、地球侵略にエイリアンが来て、宇宙戦争だとか。 子供の頃のあたしは想像力がすごかった。
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