はじまりの日

2/2
43人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
雨が降りしきる人通りの少ない場所に、少女が1人、ぽつんと立っていた。 まるでフランス人形のように美しく、可憐な姿をしていた。 しかし、見事に腰まである、綺麗にウェーブしていたであろう金髪は、雨に打たれ、無造作に雫を垂らしていた。 暗い空を見つめ、傘も差さず、せっかくの綺麗なドレスは所々破れ、身体も雨でびしょ濡れだった。 「……私は何故ここにいるの――……?」 金色だった瞳がエメラルドグリーンに変わり、彼女はそう呟いて雨の中、誰にも気付かれないように涙を一筋流した――― ――それから五年経ち、運命の歯車は狂いだした。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!