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雨が降りしきる人通りの少ない場所に、少女が1人、ぽつんと立っていた。
まるでフランス人形のように美しく、可憐な姿をしていた。
しかし、見事に腰まである、綺麗にウェーブしていたであろう金髪は、雨に打たれ、無造作に雫を垂らしていた。
暗い空を見つめ、傘も差さず、せっかくの綺麗なドレスは所々破れ、身体も雨でびしょ濡れだった。
「……私は何故ここにいるの――……?」
金色だった瞳がエメラルドグリーンに変わり、彼女はそう呟いて雨の中、誰にも気付かれないように涙を一筋流した―――
――それから五年経ち、運命の歯車は狂いだした。
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