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希道さんの初仕事、巡察。
ピンからキリまでな仕事で。
たまには人を斬ることもあり、女子である希道さんにやらせるのは気が進みませんが。
毎日刀を握っていたと言っていましたし、最悪斬ることができなくとも手刀を入れればなんとかなりますし。
希道さんなら大丈夫そうな気がします。
それは置いといて、兎に角、巡察は京の町を見回る大事な仕事です。
そうは言っても、いつもは甘味処に行ってサボっているのですが。
しかし、今日は真面目に巡察を行います。
別に希道さんには良いところを見せたいとかじゃなくて。
彼女にちゃんと仕事を教えなくてはいけないからです。
─本当に、決して、良いところを見せたいとかじゃないんですからっ。
言い訳するように心の内で叫んでいた。
何で言い訳してるのかは、私にもよくわかりませんが。
一旦小さく深呼吸した私は気持ちを落ち着かせると、希道さんへと視線を向けた。
彼女は京の町風景が見慣れていないのか、頻りに辺りを見回していて。
まるで京に来たばかりの自分を見ているかのような気持ちにさせられると共に。
彼女は京に住んでいた人間ではない、と確信した。
喋り的にもそうなんですが。
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