第一章:壬生浪士組   《出会い》

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と、土方が後悔の念に駆られていると、突然男の怒鳴り声が聞こえてきた。 「熱ぃなおい!! 嬢ちゃんなにしてくれてんだ!!! あァ゙!!?」 怒鳴る男とその知り合いとおぼしき二人の男。 その三人の視線の先にいるのは、甘味処の娘さん。 どうやら、娘さんがお茶をかけてしまったらしく、かけられた男は激怒していた。 「す、すみません」 怒鳴られている娘さんは目に涙を溜め、ペコペコと頭を下げて謝った。 お茶をかけられた男は娘さんを舐め回すように見ると口角を吊り上げ、 「俺の相手をしてくれんだったら許してやるよ」 等と言った。 その言葉に娘さんは恐怖に身体を固まらせた。 「そ、それは」 「おっと、断ってもいいのかよ? 明らかに非があったのはそっちだぜ?」 娘さんが抗議の声をあげようとすると、知り合いの男の一人がそれを遮った。 逃げられないと悟ってしまった娘さんはポロポロと涙を溢し、ギュッと目を閉じた。
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