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土方と沖田に連れられてやって来たのは、壬生浪士組という組織の屯所だった。
連れてこられた少女、希道はその大きさに驚いていた。
─研究所より小さい…
失礼な方向に。
「此処が壬生浪士組屯所です」
沖田はにこにこと笑顔を向けながら希道に屯所を紹介した。
希道は無表情のまま門の前で立ち止まり、胸中で"木製…"と呟いていた。
「紹介なんざいいから行くぞ」
そう言って前を行く土方を沖田と希道は追いかけた。
連れてこられた部屋は土方の部屋らしく。
土方が部屋の奥に座り、木製の低い机を挟んでその目の前に希道、机の近くに沖田が座った。
「で、てめぇはいったい何者だ。
名前は」
土方は氷のように冷たく鋭い睨みを利かせながら希道にそう問いかけた。
希道はそれに表情を崩すことなく答える。
「………希道。一応旅人」
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