第一章:壬生浪士組   《入隊》

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「私は此処、壬生浪士組局長の近藤勇だ」 「私は副長の山南敬助です」 「土方歳三だ」 「一番組組長、沖田総司です」 朗らかに笑いながら名を述べた近藤に続き、微笑んだまま同じように述べた山南、一緒にいたが紹介はしていなかった土方と沖田。 「…………希道です」 少し頭を下げながら希道も名を述べる。 下げた頭を上げると近藤は 「総司に勝ったんだって?」 と、いかにも興味津々という感じに希道に言った。 希道は口を開くことなく、小さく頷く。 「それと歳の話によると、どうやら希道くんは旅人ならしいが… どうだい、目的がないのならばここで一緒に力を合わせてくれないか?」 近藤は微笑みながらそう希道に問いかけた。 その問いかけに希道はキョトンとした後に困惑を露にする。 希道はここで考えなければならなくなったのだ。 此処で働くか、働かないか。 目的がないわけじゃない。 記憶を取り戻すためにこの時代へ帰って来たから。 自分のことを待ってくれている人がいるかもしれないと思うと、一刻も早く記憶を取り戻したい。
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