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「私は此処、壬生浪士組局長の近藤勇だ」
「私は副長の山南敬助です」
「土方歳三だ」
「一番組組長、沖田総司です」
朗らかに笑いながら名を述べた近藤に続き、微笑んだまま同じように述べた山南、一緒にいたが紹介はしていなかった土方と沖田。
「…………希道です」
少し頭を下げながら希道も名を述べる。
下げた頭を上げると近藤は
「総司に勝ったんだって?」
と、いかにも興味津々という感じに希道に言った。
希道は口を開くことなく、小さく頷く。
「それと歳の話によると、どうやら希道くんは旅人ならしいが…
どうだい、目的がないのならばここで一緒に力を合わせてくれないか?」
近藤は微笑みながらそう希道に問いかけた。
その問いかけに希道はキョトンとした後に困惑を露にする。
希道はここで考えなければならなくなったのだ。
此処で働くか、働かないか。
目的がないわけじゃない。
記憶を取り戻すためにこの時代へ帰って来たから。
自分のことを待ってくれている人がいるかもしれないと思うと、一刻も早く記憶を取り戻したい。
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