第一章:壬生浪士組   《入隊》

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それに希道としては、先にこの時代に足を踏み入れている"先生"にも会いたい。 でも、今になって思い出した重要なことがある。 それは、この時代で過ごすためのお金と着るものを博士から貰い忘れたこと。 宿屋に泊まろうとしても、お金がなければ無理。 会ったときの会話を思い出しても、この格好はこの時代では不自然ならしいし。 黙って考え始めてしまった希道に近藤が心配そうに眉をハの字に曲げながら言う。 「別になければの話だから無理に此処にいようとしてくれなくていい」 近藤がそう言い終わると同時に、希道は首を横へ振った。 「………目的がないわけじゃない。 此処に居たら目的を達成できないかもしれない。 でも、此処に居て目的が達成できる可能性もあるのなら、その可能性は捨てるべきじゃない。 だから、達成できないと判断するまでは此処のお世話になりたい。 ………これからよろしくお願いします」 希道はそこまで喋ると最後にそう言いながら、少し頭を下げ。 それを見た近藤は満面の笑みを浮かべながら"ああ!!"と返した。
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