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若干抜けている彼女を尻目に、沖田は焦っていた。
─ど、どうしましょう。
なんとなく希道さんに会いたくなったから、だなんて言えるわけがありません…!
いつも使わない頭を使って必死に考える沖田は、いい答えを見つけることができた。
「あっ、他の幹部の方たちにも希道さんを紹介しに行かなければと思いまして」
焦っていたにしては上出来。
しかし、これを打ち破るがごとく、藤堂が首をかしげながら口を開いた。
「総司そんなこといってなかっ──」
最後に、"た"と言おうとしたときだった。
沖田が満面の笑みを浮かべながら拳を強く握り締めるのが視界に入った。暴力反対。
「いや、なんでもない」
冷や汗を流しながらそう言った藤堂に若干首をかしげたが、視線を沖田へ向けると"わかった"と返した。
彼女の返答にホッと安堵の息を吐いた沖田に藤堂は小声で聞いてみた。
「どうしたんだよ、総司?
そんなこと一言も言ってなかったじゃん」
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