第二章:初仕事

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─あれ。でも希道(あの子)昨晩のお膳、片付けないで部屋に戻ったような… それが顔に出ていたのか、沖田さんは付け足す。 「昨晩の膳は私が持っていきました」 にこりと笑っている沖田さんに思わず謝りそうになっていると、彼は"ここですよ"と言った。 どうやら勝手場に着いたらしい。 そこでは厳つい顔の男たちが洗い物をしていた。 「これ、お願いしますね」 そう言って隊士に手渡す沖田さんに促されて私もお膳を差し出し、受け取ってもらうとまたパタパタと彼の背中を追いかけた。 途中、沖田さんの部屋へ寄って浅葱色の袖口が白抜きされたダンダラを彼が羽織り。 太刀と脇差しを腰に挿して門へと向かった。 門には一番組の隊士さんたちが既に集まっていて、私と沖田さんが最後だということがわかる。 「遅れてすみません。 さて、希道さんの初仕事の京の町の巡察はこのダンダラを羽織って行くんですけど… 希道さんは入ったばかりですからまだないので、そのまま私の隣をついてきてください」
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