1 顔合わせ

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 三百人を超える入学生と、その二倍近くの在学生。期待に胸震わせる者と、かつての自分達の姿に懐かしさと気恥ずかしさを覚える者。様々な思いがまぜこぜになった中で目立つ者は少ない。  その少ない中に、二人の少年が含まれていた。 「やー、実際こうして見るとすげぇ人数だな、アルディ」 「……そうだな」  アルディと呼ばれた紫髪(しはつ)の少年はくぁ、とあくびを一つ噛み殺した。有名で実力派の学園といえど、入学式における一種の退屈さは変わらない。彼はその退屈さを強く感じてしまった者の一人なのだろう。  対して、話しかけている淡い水色の髪の少年に眠そうな様子はない。こちらは期待感からろくに話を聞いていなかった類だろう。「ありがたい学園長のお話」の内容もほとんど覚えていないに違いない。
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