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「いえ、別に。何でもないです」
「そう。それならいいのだけれど。貴方のお名前は?」
「……アルディです」
女性は右手に持っていたファイルを開いた。左手で確かめるように紙面をなぞり、にっこりとアルディに微笑みかける。
「中に入りましょう、アルディ君。特進科で来ていないのはあと貴方だけだから」
「……分かりました」
女性と共に木造りの上端が丸い扉を抜ける。四段ほどの短い階段の横に置かれた看板には、「英雄特進科寮」と書かれていた。
入ってすぐの天井の高いホールには既に五名ほど女子生徒がいた。皆それぞれに個性的な格好をしており、また魅力的な外見をしている。
女性は確かめるようにホールを見渡してから一つ頷いた。
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