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とある時代。 文学が繁栄し、作家を志す者が多い国。 この国のとある場所に、文学作家や編集者を養成する高校がある。 「サクラ…邪魔だな」 私立紫陽学園 その入学式の当日、新入生や保護者で賑わう校庭に植えられた桜。 それから風に舞う花弁を鬱陶しそうに視界から払う少年――火灯 響は、浮き足立つ他の新入生とは全く異なる雰囲気を身に纏っていた。 「どうぞ。簡易の校則も記載されていますから、新入生の方は目を通しておいてくださいね」 「どうも」 体育館の入り口で女性教諭に手渡された小冊子を、響はパラパラと軽く斜め読みしていく。 小冊子はそれなりに分厚く、彼が座席に着いてからも暫く読み続けた。  
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