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『――…で、ありますから』 入学式が始まり、既に1時間は経過していた。学園理事長の世間話に船を漕ぐ生徒もいれば、興味も持たず隣席の者と小声で談笑する生徒もいる。 時折それらを小さく注意する教師もいるのだが、一概に退屈だと分かっているからなのか、キツく注意はしない。 そんな惰性的な空気の中、他の生徒と同じく、うつらうつらと夢の中へ旅立ちつつあった響の意識を覚醒させたのは、ガタン!とパイプ椅子の傾く音と、甲高い少女の声だった。 「つまらん!!今は世間話をする為の時間ではないのだぞ!」 「……何、あれ」 寝起きの掠れた響の声は、簡単にざわめきにかきけされてしまった。  
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