いきなりの模擬戦

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 そしてこの施設ではお腹が痛いから休むなんて通用しないって分かった。 「あの、柏崎さん?」 「なんでしょう」  眼鏡を中指でクイっと上げて、俺と目を合わせる。 「もしも俺が模擬戦の途中で失神して脱糞したらどうするんですか?」 「係りの者に処理処分消毒清掃させますのでご安心を」 「そ、ソーデスカ」  俺はゴミ扱いですか。 「では始めますね――フィールド展開」  柏崎さんが右手を横に振った瞬間、広大な海が歪みだした。 「? ? ? ? ? ? ?」  俺は初めて空間が歪むってのを見た。  携帯があったらこの超自然現象? を写真に収めてブログに載せたいと思う。 「では廃墟でお願いします」 『了解しました』  若い女性の声が放送され、歪んだ空間が徐々に形を成していく。  僅か数秒で広大な海が廃墟と化したビル街になった。  多分、裏でいろいろ操作しているんだろうな。  こんなのアニメとか漫画とかラノベとかにしか存在しないと思っていたんだ。  つい最近までニートをしていた俺からしてみれば驚愕する事以外何も出来ない。 「あの、柏崎さん?」 「なんでしょう」 「このテクノロジーはナンデショウカ?」 「空間具現化式立体映像と言うところでしょうか、簡単に説明すれば予めプログラミングされた地形を立体映像として表面化し、その上からコーティングし具現化するという仕組みです。具現化された地形や建物は実際に触れることが可能ですし、それに見合った質量もありますなので――」
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