嫌よ嫌よも好きのうち

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ピクリ、と獅子之介の眉が動く。 気づいているのかいないのか、純子はどこまでも深緑の地平線を横目で見つめたまま再び話を続ける。 「私にはわからないよ。 辛いだけでしょ?このままの状態が続いても。」 獅子之介は文庫本からゆっくりと目を離し、純子をちらりと見た。 純子はようやく自分に意識を移した獅子之介に小さく笑みを浮かべる。 「獅子之介君の力は私たち二人だけしか知らないんだよ?」 遠回しな物言いだ。 獅子之介は眉をしかめる。 「何が言いたいんだい?」 つまりね、純子はそう言って獅子之介に笑いかけた。 「消しちゃえばいいんだよ。あいつらを。」 .
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