2人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
幸せって、なんだろう
なんて、詩人ぶって口に出すのは少し恥ずかしくてためらわれる。
でも、本当に、なんなのだろう。
幼いころ、まだものをよく知らないころなら、青い鳥が幸せを運んでくれるって、何の疑いもなく信じられた。
そう、四葉のクローバーなんていうのもあったっけ。
「もうここにはないんじゃないの」
「そうやってすぐ諦めるから見つからないのよ。一つ一つ調べる」
「はいはい・・・・・・」
僕たちは暇さえあれば夢中になって探した。
「あーあ、おなか空いたなぁ」
「む。そんなことで幸せを逃してもいいの?」
文句こそ言うものの、やめようとは考えもつかなかった。
「ねぇ、もう暗くなってきたよ?」
「わかってる。嫌なら一人で帰れば・・・・・・・・・・・・・・・・・・あっ」
「えっ、まさか・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
今になって思えば、四葉のクローバーなんて、探す場所を選べば、いやというほど手に入る。
「うわあ、やったね、すごいよ!」
「うん。やっと、見つけた」
そんな、ちっぽけな幸せ。
「これで僕たち・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「これで私たち・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
だけど、あのころの僕らにとっては、
「「幸せになれる」」
そう信じるに足るものだった。
最初のコメントを投稿しよう!