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現在、紫苑達は試衛館道場の一室にいる。
かなり疲れた顔で……。
「ヤバい……。何なの、あの視線は……。」
そう呟く紫苑の顔はげっそりしている。
小浜にいたっては、話す気にもなれないようだ。
紫苑が言っているのは、道場に行く途中で通った町の人達の視線の事だ。
未来からタイムスリップしてきた彼女達の格好は、もちろん着物ではないし、どちらかと言えば異人が着ている服に近いので、奇異の眼差しがさんさんと向けられたのだ。
「もう外なんて歩きたくない……」
さらに、紫苑の見た目はかなり良い。小浜も爽やかな顔立ちで、未来では看護師や患者にモテていた。
そんな二人の隣に土方がいるときた。
ただでさえ目立つのに、美男美女が揃っている事で余計に視線が集まったのだ。
「……無事に道場に着いただけでも良いですよ……」
小浜はそう言うものの、全然無事そうではない。
「おい! かっちゃんが来たぜ!」
どんどん暗くなっていく二人を土方の声が遮った。
あれだけ『かっちゃん』に会うことを楽しみにしていた紫苑が、今は……。
「うぅ……もうちょっと後にしてよー」
と項垂れている。
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