261人が本棚に入れています
本棚に追加
『さあ、始まりだ』
そう告げられてから約5分が経った。
「…皆、聞いてほしいことがある」
薮くんが口を開いた。
「俺は、JUMPが好きだ。
殺すことなんてできない…
皆はどう?」
「俺だってそんなこと出来ないよ!」
「俺も…!」
裕翔くんと大ちゃんが泣きそうになりながら言った。
皆も辛そうに頷いている。
「…だからさ、この際皆で死なないか?」
薮くんは笑った。
けど顔がひきつっている。
「なんか聞いた話だと時間切れで爆破したケースってほとんどないみたいだし。
今こそ、俺たちの本当の強さを見せつけるべきだと思う」
皆最初は戸惑っていたけど、やはりメンバーは殺したくない。
俺たちは全員で死ぬことに決めた。
「いいか。
小屋を出たら全員別のルートを歩くんだ。
考えたくないけど…メンバーと会ったら気持ちが揺らいでしまう可能性があるから。
そして制限時間に目的地に着くようにひたすら歩く」
「よっしゃ、なんか勇気わいてきた!」
「光切り替え早いもんな~」
「伊野尾くんだってそうじゃん!」
「龍太郎、一言余計~」
「一人で大丈夫かな…」
「圭人は小屋出てすぐ泣くんじゃねえの(笑)」
「そういう雄也だって一人じゃ怖いくせに~」
「知念は大丈夫そうだな!」
薮くんの作戦のお陰で皆にもようやく笑顔が戻ってきた。
「山ちゃん」
「ん?」
「山ちゃんさっきから話さないね?」
「そんなことねぇよ。
ただ色々考えてただけ」
「そっか!そうだよね!」
裕翔くんに笑顔を向け、出発の準備をした。
「それじゃ、またあとで」
最初のコメントを投稿しよう!