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「やま……だ……」
「………っ」
横を見ると苦しそうにさっき見た花を差し出している薮くんがいた。
「おれ…さ、嫌だったんだ…メンバーが殺すとこ…見るの…」
「……は…?」
「絶対皆…疑心暗鬼になるから…だから……ゲホッ…誰か裏切る前に…俺が…悪役になろうって……」
「な、にそ…れ…」
「できるだけ早く…皆殺して……最後のメンバーと…同時に死ぬつもりだった……」
「それ、って……」
「…山田、メンバー殺させて……ごめん…っ」
意味が分からない。
俺は、殺される前に殺しただけだ。
ただ自分の為に…
だけど薮くんは誰かが悪にならないように自ら悪になったっていうのか?
「そんなの……嘘だ……」
「山田…この花…千日紅っていうんだ……花言葉は…“終わりのない友情”…」
「うそだ……嘘だ嘘だ嘘だ…!!
そんなっ…人を想って殺すなんて…そんなやついるわけない…!
結局自分だけ助かろうと……ゴホッ…そうなんだろ……!?」
俺は信じない。
信じれない。
永遠の友情なんてあるわけない。
「山田……山田…っ…!」
「離せっ…!俺は…俺は……!!」
薮くんが俺のことを抱き締める。
やめろ、そんなことしたって俺は…
「俺は…皆のこと…信じてやれなかった……あの作戦が上手くいったかも…しれないのに……俺はやっぱり…間違ってると思う…
けど…誰かを犠牲にするくらいならって…
………だけど!!
お前を……人殺しにさせてしまった…ごめん…」
「……っ、あああああああ!!」
薮くんが思ってた通りだった。
俺という裏切り者が出てしまった。
俺は悪いやつなんだ。
結局誰のことも信じれなくて。
最低で…最悪で…
薮くんに“守ってもらう”ような、そんなやつじゃないんだ。
俺一人生き残って、一人で一生後悔しなきゃいけないんだよ。
「薮く…ん…っ」
「大丈夫…お前は…一人じゃない……皆いるから…だからまた……」
“だからまた10人で生まれ変わろう”
俺は薮くんから花を受け取った。
最後の涙が、溢れ落ちた。
そして俺たちは同時に目を閉じた。
ゲーム開始三時間。
全員死亡、よって、ゲーム終了
end
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