変わったのは僕らの関係だけ

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それから五分。 俺は何事もなかったように帰り道を歩いている。 まるで一瞬のことで、今までと何も変わっていない気がした。 「…あ」 随分早く設置されたクリスマスツリーが点灯した。 どうやら点検中らしい。 「ここ、前に山ちゃんと来たな…」 確かあの日はクリスマスで、仕事帰りに寄って行ったんだ。 『わあー!キレイだね!』 『うん!』 『僕もいつかこのツリーみたいにビックになる!』 『中島くんならなれるよ!』 『その時は山ちゃんも一緒ね?』 『…うん!ずっと一緒!』 「もう一緒には…いられないなあ…」 自分で壊してしまった。 もう仲間じゃいられない。 でも仕方ないさ。 だってこの気持ちは本物だから。 山ちゃんに隠しているのは、なんだか申し訳なくて、嘘吐いているみたいで嫌だった。 「…あはは」 ばかみたい、俺。 「裕翔くん…」 「!…え、」 「裕翔くんも、ここ、来たんだ…」 「…っ」 山ちゃんの顔なんて見れなくて帰ろうとした。 その時だった。 「裕翔っ…!」 「!!」 背中の温もりは、確かに山ちゃんのもので。 俺はどうしたらいいか分からずその場に立ち尽くしていた。 これじゃ立場が逆転だ。 「…さっきはごめん」 「いいって」 「違う、そうじゃなくて」 「え…」 「俺も、裕翔くんのこと好きだよ」 「山ちゃん?」 「友達とかの意味じゃなくて…ちゃんと好き」 「…!」 「だけど…そんなの認められないから… 裕翔くん傷付けるくらいならって思った」 「う、そ...」 「だけど…ここに来たらやっぱり諦めきれなくて。 裕翔くんに会いたいって思ったら…」 俺の背中を抱き締める力が強くなった。 「会えたね」 心臓が、止まるかと思った。 相変わらずクリスマスツリーは光っている。 「山ちゃん、俺… 山ちゃんと一緒にいていいの?」 「うん…だって約束したじゃん」 「覚えてたんだ」 「裕翔くんもね」 お互いに笑い合う。 点灯の点検が終わった。 「帰ろっか」 「うん」 俺達はいつものように帰り道を歩いた。 ただ一つ、俺の手に感じられる山ちゃんの温もりを除いて。 明日も明後日も、一緒にいよう。 -------------------------------- 突発\(^o^)/ のわりに長いw 季節先取りしすぎました(笑)      
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