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俺はこの世界なんてどうでもいいと思っている。
人間なんて滅んでも構わないと思う。
昔、俺は世の中の全てを素直に受けとめていた。
でもそれはことごとく砕かれ、ついに俺は愛想笑いしかできない人間になってしまった。
周りの人間なんて信用してないし、きっと相手だって俺のことなんか信用していない。
ただ、空気を読んでその場を終わらせればいいのだ。
でも俺はこんな人間になりながらも、未だに希望を捨てられずにいる。
もしかしたら、って思う度さらに傷が増えていくだけ。
だからこそ俺を含めて人間なんていらないと思うのだ。
人間は発展しすぎたんだ。
夜中叫びながら訴えても誰も聞きやしない。
ああ、このまま寝て明日俺は死んでたらいいのに。
カッターを持ったとき、ふと彼の顔が頭に浮かんだ。
『裕翔くん』
『裕翔くんってほんと優しいよね』
『俺普段はこんなこといわないけどさ…』
『俺は信じてるから』
俺のことを察して言ったのかはわからない。
でも、彼のことを思ったらなぜか涙が止まらなくなった。
こんな俺のことを信じてくれるのだ。
もう誰も信じないっていう俺を、山ちゃんは信じるっていったんだ。
『俺、裕翔くんのこと好きだよ』
俺はカッターをゴミ箱に捨てた。
明日もまた、君に会えるように。
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