明日も君に (!)

2/2

261人が本棚に入れています
本棚に追加
/154ページ
俺はこの世界なんてどうでもいいと思っている。 人間なんて滅んでも構わないと思う。 昔、俺は世の中の全てを素直に受けとめていた。 でもそれはことごとく砕かれ、ついに俺は愛想笑いしかできない人間になってしまった。 周りの人間なんて信用してないし、きっと相手だって俺のことなんか信用していない。 ただ、空気を読んでその場を終わらせればいいのだ。 でも俺はこんな人間になりながらも、未だに希望を捨てられずにいる。 もしかしたら、って思う度さらに傷が増えていくだけ。 だからこそ俺を含めて人間なんていらないと思うのだ。 人間は発展しすぎたんだ。 夜中叫びながら訴えても誰も聞きやしない。 ああ、このまま寝て明日俺は死んでたらいいのに。 カッターを持ったとき、ふと彼の顔が頭に浮かんだ。 『裕翔くん』 『裕翔くんってほんと優しいよね』 『俺普段はこんなこといわないけどさ…』 『俺は信じてるから』 俺のことを察して言ったのかはわからない。 でも、彼のことを思ったらなぜか涙が止まらなくなった。 こんな俺のことを信じてくれるのだ。 もう誰も信じないっていう俺を、山ちゃんは信じるっていったんだ。 『俺、裕翔くんのこと好きだよ』 俺はカッターをゴミ箱に捨てた。 明日もまた、君に会えるように。  
/154ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加