僕が君で君が僕で (!)

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「お、俺が山田涼介だよ!」 一人の山ちゃんが俺の方を向いて言った。 もう一人の山ちゃんは唖然として見ている。 「山、ちゃん…?」 「こんなやつに騙されんなよ! なんだかよくわかんないけど… 俺が山田涼介だよっ…!」 「……っ」 その山ちゃんは必死に自分が山田涼介だと訴えた。 俺は後ろにいるもう一人の山ちゃんをみた。 「もう一人の山ちゃんは…なんか言うことはないの?」 すると山ちゃんはにっこり笑って言った。 「俺は、裕翔のこと信じてるから」 「山ちゃん…」 その時、ふいになにかが引っかかった。 「待てよ!! お前なに言ってんだよ!?」 「もう諦めろよ偽物! 俺と裕翔の仲バカにするのもいい加減にしろよ!!」 「はあ!?」 「やめて!!!」 俺は二人を止めた。 「もう消えろ、偽物」 「!!」 俺が拳銃を向けたのは、前で必死に訴えている山ちゃん。 「う、嘘、だろ?」 「本物だったらそんなに必死になんないだろ?」 「な、んで? 俺たち恋人だろ…?」 「俺は偽物と恋人になった覚えはない」 「そ、んな…っ」 後ろにいる山ちゃんは、ホッとしたのか地面に座りこんでしまった。 「消えろ」 「ゆ、裕翔くん....っ」 俺は問答無用で銃を撃った。 その時、やはり外見は山ちゃんだからか胸がズキンと痛んだ。 するとその瞬間に偽物は消えた。 「やった…」 「消えた… 裕翔、消え、たの?」 「うん…」 すると山ちゃんの目からは涙が溢れた。 「よか...よかった…っ」 「山ちゃん…」 「お、おれ...裕翔が俺のこと撃ったらどうしようって…っ」 「……っ」 俺は山ちゃんを強く抱き締めた。 「本当によかった… ほら、ティッシュ」 「ありがとう…」 そう言って山ちゃんは左手を差し出した。 瞬間、全身に悪寒が走る。 「裕翔、本当に、 ア リ ガ ト ウ」 end.
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