アメとムチ ※

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「山田、お前また帰るのか!!」 「いちいちうっせーよ」 教室中に先生の怒鳴り声とだるそうな声が響き渡る。 「来年進級できなくても知らないからな!?」 「うぜえって言ってんのわかんねえのかよ。 何しようが俺の勝手だろ」 「なっ…!」 ガンッ、と机を軽く蹴って涼介は出ていった。 「うわ、怖ぇー」 「本当なんであんなやつと同じクラスなんだよー」 みんな涼介のことが嫌いだ。 気まぐれで、やる気なくて、自分勝手で。 所謂不良ってやつ。 でも、みんなは知らないんだ。 涼介の本当の顔。 「先生すみません、お腹痛いので保健室行ってもいいですか?」 「中島?大丈夫か?」 「はい」 教室を出るときに女の子達の声が聞こえる。 「中島くん、大丈夫かな?」 「あたし心配…」 「あたしもだよ…」 「最近体調悪いみたいだよね」 俺は女子にモテる。 テストは毎回トップだし、ルックスもそこそこ良いから。 先生からも信頼されてるし、部活も部長だから男子とも普通に仲がいい。 だからみんな気づかない。 俺と涼介に関わりがあるなんて誰も知らない。  
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