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教室を出るなり、俺は廊下を走る。
―見つけた。
「涼介」
「!!」
涼介は振り向かずに立ち止まった。
俺は無言で涼介の手を引っ張る。
「やめっ、なんだよ、離せよ!!」
「……」
俺は使われていない実験室に涼介を連れ込んだ。
「痛いっ、離せ!!!」
入るなり涼介は俺の手を思いっきり払った。
「なんで帰んの?」
「お、お前に関係ないだろ!?」
「関係ない、ね…」
俺はドアに鍵をかける。
すると涼介の顔つきが変わった。
「な、なんだよ…っ」
「だから、なんで帰ろうとしたか答えろって言ってんの」
「やだっての!!
鍵開けろよっ!!!」
涼介が俺の胸ぐらを掴む。
でも俺はその手を掴んで思いっきり力を入れてひねった。
「い゛っ…」
「もう分かってるだろ?
俺のほうが力強いってこと」
「...っ」
涼介は俺のことを睨み付けるけど、そんなことしたって無駄だ。
俺はそのまま涼介を押し倒す。
「や、やめっ…」
「涼介はさ、本当なんで素直じゃないわけ?」
「な、んのこと...だよっ」
「今日俺が女の子に告白されてたの見て嫉妬したんでしょ」
「!!」
「大丈夫だよ、断ったから」
「な…っ」
俺は涼介の白い頬をゆっくりと撫でる。
涼介はわずかにピクッと体を震わせた。
…可愛い。
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