623人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前が儂に出した書類をよく見てみろ」
爺から書類を受け取り声に出して読む。
「増員を要請する」
バン!!
爺は机が壊れるんじゃないかと思えるくらい強く叩いた。
顔に青筋が浮き上がっているのは何故だろう。
「……その上を読んで見ろ」
「ランクAの兵士を……」
『馬鹿者がああああ!!』
天を衝くような声が響き渡る。
「ランクAじゃと!!よくそんな事を言えたな!」
馬鹿デカい声を出しているのだろうが爺の最初の声で耳が麻痺してしまいよく聴こえない。
ルナはそう来ることは分かってましたと両耳に指を入れていた。
「別におかしくないだろ?最前線で戦う任務が私達の隊のメインだ。ランクAでもまだ妥協してやった方だ」
「ふざけるのも大概にしろ!!」
別にふざけてる訳じゃない。
ロクな経験値もないランクAの兵士など私の隊ではほとんど役に立たない。
一般人…いや、兵士達にも勘違いしてる者が多いがランクは強さではない魔力の容量で決まる。
ランクが高くても戦闘経験が零なら使い物にならない。
私達の任務は戦争だ
。
一個大隊を相手にする事などざらにある。
そんな激務を私達は2人か3人で別れてこなしている。
経験値零の兵士でもランクAの魔力があれば少し鍛えれば的くらいにはなってくれる。
「ランクAの兵士など!いや、お前に手塩にかけて育てた兵士を預ける事など出来んわ!!」
酷い言われようだな。
三番隊は一名を除き私がスカウトした者達で構成されている。
一度も兵士を国から与えられてない。
英雄だ、何だと祭り上げておきながら兵士は自分で調達しろなどおかしな話しだ。
一度も兵士を与えてないのに信用出来ないとはあまりにも……
「忘れた訳であるまい!一年前のお前のしでかした「ベル広野の悲劇」を!」
……やっていたな。
最初のコメントを投稿しよう!