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任務から帰還して2日後、三番隊の教室に向かう途中に昴に会った。
「お早う、純。」
「相変わらずだな、昴。」
昴は困った様に笑う。
昴の周りには彼の教え子の女生徒達がくっついている。
「晶の機嫌を損なって私に迷惑を掛けるなよ?」
「彼女はこの程度で俺に嫉妬などしてくれないよ。」
少し悲しそうに首を振るがそれは昴の勘違いだ。
以前、王国のパーティーに呼ばれ他国の姫が昴に抱きついた所を見た晶は隣にいた私の腕を掴み曲がらない方向へと腕を向けた。
「ゴメン、力入れ過ぎちゃった。」
悪びれもなく晶はそういうと城門を破壊して帰って行った。
爺は何故か私に命令しその城門の補修をさせられた。
これが骨折り損と言う奴かと賑やかなパーティーを尻目に城門を補修した。
「純、涼子にフラれたよ。」
昨日涼子と会ったのは知っている。
断ったのか涼子は。
「彼女を大事に…言った所で変わらないか。」
昴は微笑み私の肩に手を置いた。
「彼女を諦めるつもりはないよ純。」
昴は生徒達と教室へと入っていった。
涼子の事は私に話してもどうにも出来ない。
三番隊の教室に入るとルナとアンジェラが先にいた。
時間に余裕を持って来てるんだがいつも2人の方が早い。
『はい。』
2人から渡されたのは報告書。
報告書を見るとどうやら上手くいった様だ。
「ご苦労。」
さて、これで集中して訓練を行えるな。
『おはようごさいます。』
レイミ、涼子、エミルが挨拶をして入って来た。
「隊長。昨日、燐に会いました。」
嬉しそうに昨日あった事を話し始めた。
燐は数百年一人で生きてきた為か特に仲間意識が強い。
今は、療養中のはずだがアンジェラにレイミの話しを聞いて会いにいったらしい。
「…あの隊長、燐は食事を取らないと言ってましたが大丈夫なんですか?」
吸血鬼は人の生き血を糧にすると文献にも書かれている。
しかし、燐の話しだと吸血鬼が生き血を飲むのは快楽の為でありそもそも何も食べる必要がないと言っていた。
「安心しろ。燐とは3年程経つが弱まった様子はない。」
寧ろ、強くなっているくらいだ。
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