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「今になっては笑い話だな」
「笑えるか!!」
爺が怒るのもわからんでもないが私だけが悪い訳ではない。
まず、トラップに気づけなかった兵士達の力不足が一番の原因だと思う。
「あの一戦でお前の隊長としての人格を問われ、儂とかぐやがどれだけ大変だったか!」
あの後、逃げ帰った兵士の証言で査問会にかけられた私だが
爺達が庇ってくれたのと今までの功績に免じて不問になった。
その後、かぐやに3分の2殺しにされたが…
「ともかくお前に今いる兵士を預ける事は出来ん!」
「なら任務を減らしてくれ」
「それも出来ん!」
「鬼」
…ん?今いる兵士は?
「総大将、お話しはそれだけですか?」
いつの間にかソファーに座っているルナが爺に話す。
テーブルの上には私に淹れてくれたコーヒーが置かれていた。
「いや、まだある」
爺は淹れたてのお茶を一気に飲み干した。
あんな苦い液体をよく飲めるな。
「まだ、世間には発表してないが先日、各国首相が集まり休戦協定が結ばれた」
「嘘だろ?今日、シスを潰したばかりだぞ?」
シスは三年程前にヴェニル国から独立しバルデス国とは不可侵条約を結んでいた。
しかし数日前に一方的に条約を破棄。バルデス領に侵略しようとした為つい今し方私達に滅ぼされた。
「シスは元々ヴェニル国に反乱し独立した国じゃ。シスの領土を返す事がヴェニル国の休戦協定の条件だったそうじゃ。」
なるほどな。それで珍しく任務の内容が壊滅だったのか……
「条約の為、一肌脱ぐがただでは返さないか。」
建造物は全てとは言わないがほぼ壊滅させた。
ヴェニル国は領土を手に入れたが人が住めるまでには時間と莫大な金がかかる。
「うむ。先に言っておくが……」
「晶だろ?」
爺は答えない。
爺の沈黙はイエスと同義だ。
こんな嫌がらせ地味た命令など晶以外に出さない。
「別にいいさ。話しの続きを」
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