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「まあいい。貸すのはいいが条件がある。」
「了解した。」
聞かずともわかる。昴は首にかけているアクセサリーを私に渡した。
一ヶ所だけ欠けた星の形をしたアクセサリーを受けとると教室を出た。
「…随分偉くなったな。」
3番隊に戻った私が見たものは顔に髭を生やして額に[偉]いと書かかれたエミルだった。
「うっ…ひっく。」
さすがにやり過ぎたと思ったかアンジェラは泣くエミルをなだめている。
ルナはラクガキを消そうとハンカチで拭うが油性で書いた為全く消えない。
「え、エミルちゃんごめんねー。今日、晩御飯奢るから純がー。」
…何故、私が奢らないといけない?
エミルは泣き止んで私を見る。
「その顔で食べに行くのか?」
また泣き出した。
ルナとアンジェラに睨まれるが私が悪い訳ではないだろう。
エミルを泣かせたのは2人の責任だ。
私は涼子に視線を移す。
ガレキの下敷きになり頭を打ったのか治療魔法を自分にかけている。
「片倉 涼子。大丈夫か?」
「はい。」
顔色もいいし嘘はついてない様だ。
「片倉 涼子。一番隊へ出張してくれ。」
涼子は目を丸くしたがすぐに元の表情に戻る。
「転籍ではないんですね?」
私が頷くと涼子は反論せず一番隊へ向かった。
本当に昨日何があったのか…。
エミルに視線を戻すと大分顔のラクガキも消えているが強く擦られたからか赤くなってる。
「ルナ、コレを使って訓練をしろ。」
ルナに向かって昴から借りたペンダントを投げた。
ルナはすぐに理解してペンダントに魔力を込める。
欠けた部分が浮き出し扉が現れる。
ルナはエミルを連れてその中に入ると扉は消えた。
「純、今のが星の欠片ー?」
「ああ。」
昴に借りたアクセサリーは使用者のイメージした空間を造る事が出来る。
7年前の戦乱時、昴はこの力で敵の軍隊を分断して大きな戦果をあげた。
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