破棄

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この場に参加するのは初めてだった様だ。 でなければ燐の前で仲間を貶すはずがない。 「話しを続けてくれ。」 私の言葉に爺が話し始める。 「協定を破棄したのはガロアルジア国。3日前、燈国へ侵略し被害は甚大だ。」 バルデス国とガロアルジア国は燈国を挟んである。 「王は協定を破棄したガロアルジア国を殲滅せよとの事だ。」 殲滅するのはいい… だが 「バルデス国のメリットは?」 私達とて命を賭けて戦場へ向かうのだ。 国のメリットにもならない事はやりたくはない。 「それは、宗谷隊長が知らなくてもよい事だ。ただ、それに見合う物を燈国から献上される。」 「燈国を信じる証拠は?」 爺の変わりに大臣の一人が話す。 「燈国の王は娘をよこしました。」 燈国の姫…アイツか。 人質にならんだろ。 奴の事だ喜んで人質としてバルデス国に来ただろう。 「…まさかとは思うが…奴の監視を昴に任せる気ではないだろうな?」 『…。』 馬鹿かコイツら。 人質の要望を聞いてどうする。 「奴の監視に誰が付くかは私が決める。」 「いや、しかし!」 「それが聞き入れないと言うなら。奴を私の前に連れて来い。四肢を切り落として昴に会わせてやる。」 あの姫を昴に会わせてみろ。 一国を相手するより質の悪い晶が何をするかわからない。 爺は自分が言うと角が立つから黙っていた。 大臣達は晶の存在を知らないのだろう、私が頑なに拒む理由がわからない様だ。 「わ、わかりました。宗谷隊長にお任せします。」 大臣達は理由を知らない為そこまで言うならと私に任せた。 「宗谷隊長、準備が整い次第向かってくれ。」 軍議は終わり大臣達は次々と退席する。 爺は私と目も合わさず部屋を出て行った。
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