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隊長が施設を出るのを見送り私は燈国の姫様を監視…というか部屋の隅の椅子に座ってるだけなんだけど。
姫君は今、読書中。
燐達は隊長と任務か…。
私も行きたかったけど足手まといにしかならないから我慢した。
…悔しい。
私はどうしてこんなに弱いのかな。
「泣いているのか?」
姫君は本から視線を移してはいない。
そばにある鏡を見ると私は泣いていた。
泣くつもりなんてなかったのに。
「お前、名前は?」
姫君に聞かれ答える。
「レイミ=クリスマスです。姫君。」
姫君は私の方を向いた。
姫君の表情は少し機嫌が悪い様にみえた。
「レイミと呼ぶ。私の事は椿と呼べ。」
「…わかりました。椿。」
一国の姫君に対してと思ったが椿の瞳は断る事を許さないと言っていた。
「悪夢は私の事をなんと言っていた?」
悪夢?
隊長の事か。
「…何も。ただ好意は持ってない様に感じました。」
椿は鼻で笑った。
むぅ。隊長を馬鹿にされた様でなんか嫌だな。
「レイミは悪夢に好意を持ってるのだな。」
当たり前です!
「私の隊長ですから。それと…椿、隊長を悪夢と言うのはやめて下さい。」
何か私の知らない隊長の話しをされてるみたいで…嫌だ。
何が可笑しいのか椿はクスクス笑う。
「しかしな、悪夢と呼べと言ったのは奴じゃぞ?」
隊長が?
そう呼ばれたいのかな?
「私に名を呼ばれるだけで奴は機嫌を悪くするからな。」
隊長…そんなに椿が嫌いなのか。
一体何があったんだろ?
「レイミ。私はここから出る事は出来ないのだろ?」
当然です。
私は椿に頷いた。
「ならば、奴の言った2人を連れて来てくれ。」
エミルちゃんと涼子ちゃんの事か。
隊長も呼んでいいって言ってたし。
「わかりました。では連絡してみます。」
そう言って私は部屋を出て扉を閉めるとエミルちゃんに電話をした。
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