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列車のドアが開く。
約1日かけて燈国との国境沿いまで10キロ程離れた場所に列車は停車した。
ここからは歩いて燈国に進む。
辺りには何もなく荒野が続く。
「歩くのだりぃな。」
燐は石を蹴り歩く。
でこぼこな道は歩きづらいがいつ他国の侵略があるかもわからない所をわざわざ舗装する訳もない。
ジャラーン。
どこからか陽気な音楽が聞こえる。
「誰だ!誰だ!誰だ~♪岩の影から現れる~♪」
岩から男がくるくると回りながら現れた。
何故コイツがここにいるのか…
「君だけの騎士さ~。アンジェラ~♪」
…
「何故ここにいる雅樹?」
「そこにアンジェラがいるからです。隊長。」
質問の答えになってない。
雅樹は一回転すると手に一杯の花束を持っていた。
「アンジェラ、受け取ってくれないか?」
どうせ受け取らないのはわかってるだろうに。
…だがアンジェラは受け取った。
雅樹は目から涙を流して喜ぶ。
「ありがとう雅樹。私も今日アナタにプレゼントがあるの。目を…閉じてくれる?」
ん?
何かおかしいな。
ルナと燐は2人からかなり離れた場所に移動してる。
雅樹は言われた通り目を閉じた。
ヒュン、ヒュン、ヒュン。
ヤバい。
「雅樹、逃げろ。」
私の声で目を開けた雅樹の前には大鎌を振り上げたアンジェラがいた。
「くたばれー。」
魔力と共に振り下ろした鎌は荒野に大きなクレーターをつくった。
「派手にやったなアンジェラ。」
燐はクレーターの中心に倒れた雅樹を見て笑っている。
雅樹はピクリとも動かず体から煙を出している。
…。
「行くぞ。」
雅樹を無視して進む事にした。
この前の手紙の事で怒っていたのか。
今の一撃で気分を良くしたかアンジェラは鼻歌を歌い歩いている。
雅樹も懲りずによくやる…以前は逆一本背負いで肩の骨を折られてたな。
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