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音をたて扉がゆっくり開く。
中には甲冑を着た軍人…この国では武将と言われる者達が数十人、玉座の前に左右に並んでいる。
私は燐の肩に手を置いた。
燐は少し不機嫌に話す。
「わかってるって。手を出すな。だろ?」
言っておかないと燐は何をするかわからない。
確認の為に聞いたが大丈夫のようだ。
「久しいな。」
「ああ。」
燈国の王とは面識があるが人間の出来た男だ。
あの姫の父親とはとてもじゃないが思えない。
「早速じゃが…」
王の言葉に側近の一人が戦況を報告する。
現在、ガロアルジア国と燈国は国境沿いで交戦中。
状況は芳しくなく、いつなだれ込まれるかわからない状態だと言う事。
ガロアルジア軍の指揮官は十傑の一人
[双頭の竜]と呼ばれるガルク。
十傑の中でも好戦的で三銃士はガルクを抑えるのに手一杯。その為防戦一方らしい。
「待て、三銃士には北斗がいるだろ?」
親善試合で戦った三銃士の一人。
[燈国の英雄]と云われる北斗がいるのに攻めきないのか?
「北斗はガルクとの戦闘で殉職した。」
…北斗が負けたのか。
「純…北斗の遺言だ。」
…遺言か。
[純、アトよろ!]
…。
北斗らしいな。
「了解した。すぐに国境まで行きたい。」
王が頷くと渡が移動魔術を描く。
「純、全てが終わったら。北斗の前で祝宴するか。」
「ああ。」
私は光に包まれた。
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