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「随分とやられているな。」
移動した場所は燈国の要塞。
交戦中なのか爆音が近くで聴こえる。
「渡師団長!」
兵士が渡に近付いてくる。
「ガロアルジア軍と交戦中です!戦況は劣勢!」
渡は戦況を聞き走り出すが膝をつき倒れた。
無理もない。連続しての移動魔術の使用。
しかもこの人数と移動距離。
魔力が底を尽いて当然だ。
「休んでいろ。ルナ達は渡を連れて私達の事をここの責任者に報せろ。」
私は空を飛び城壁を飛び越える。
劣勢も劣勢。
城塞まであと数十メートルの所までガロアルジア軍は進行している。
城門前では2人の燈国の甲冑を着た男が1人の男と戦っている。
燈国の2人は見た事がある。
三銃士だ。
ならあの男が…
私は剣を抜き魔力を剣に込める。
銀色の刀身は闇色に染まる。
城塞から100メートル程離れた場所に向け剣を振る。
刀身に込めた魔力が放たれガロアルジア軍数百人を消し去り大地に深い亀裂ができガロアルジア軍の退路を断った。
両軍は何が起きたかわからず硬直している。
私は燈軍にむけ吠えた。
「ガロアルジア軍の退路は断った!残る兵を掃討せよ!」
燈軍の兵士達は戸惑いながらも戦い始めた。
今ならガロアルジア軍は混乱している。
彼らだけで乗り切れるだろう。
三銃士と対峙する男をみると向こうもこちらを見ていた。
私は三銃士の前に降りた。
「やはりお前か宗谷。」
年老いた男は着ている甲冑も所々欠けいて体も傷が目立つ。
もう一人の若い三銃士は私を見た途端に体の力が抜けたのか刀を大地に突き刺し膝を着いた。
「久しぶりだな才蔵。この男は私がやる。」
才蔵は頷くと若い三銃士に激を飛ばし左右に分かれて兵の指揮にあたった。
「お前、誰だよ?」
才蔵達と戦ってた男は殺気に満ちた瞳でこちらを見る。
三銃士2人を相手にしていたにも関わらず目立った傷は見当たらない。
体は私より一回り以上あり両手に2振りの長剣。
「お前がガルクか?」
男はニヤリと笑った。
「俺の事は知ってるみたいだな。だが俺はお前を知らねーんだわ。なんだ?死んだ三銃士の後釜か?」
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