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…コイツが北斗を?
「どんな手品を使った?お前程度が北斗を倒せるとは到底思えない。」
ガルクは大声で笑った後、長剣に魔力を込め私との間合いをゆっくり詰める。
「アイツの死に様を教えて欲しいのか?」
「いや、いい。」
私はガルクとの距離を瞬時に詰める。
「ちっ。」
私の薙払った剣はガルクの頬を掠めた。
ガルクは長剣を十字に構え振り下ろす。
私はそれを片手で握った剣で受け止める。
ガルクはニヤリと笑うと剣に込めた魔力を解放する。
「ヒャハハハ!くたばれや!!」
雷を帯びた魔力が私の全身を襲った。
刀身に込められていたのは雷の上級魔法か…
普通の剣では込められた魔力に耐えられず砕け散る。
ガルクの長剣は私の剣と同じ魔剣か。
「魔力を喰らえ[クレイモア]」
私の言葉に雷の魔力が剣に集まる。
「返すぞ。」
雷の魔力を帯びた剣をガルクに放つ。
ガルクは雷にのみ込まれ崩れ落ちる。
直撃する前に防御壁を張ったか…
即死は免れたが両手は焦げ使い物にはならない。
「…てめぇ…何者だ…」
全身に火傷を負いそれでも立ち上がろうとする。
私はガルクの頭を掴み立ち上がらせ瞳をみる。恐怖よりも怒りに狂った瞳をしていた。
「覗かせてもらうぞ。北斗の最後を。」
ガルクの記憶が鮮明に私の脳裏に映し出される。
…そうか、北斗は仲間を庇って死んだのか。
「何…言っ…」
ガルクは最後まで話せず私の一太刀で首を胴から切り離された。
分断したガロアルジア軍はほぼ全滅したようだ。
亀裂の向こう側にはこちら側へ攻め入ろうと橋を架ける準備をしている。
私はガルクの首を持ってガロアルジア軍に向かった。
亀裂を越えてガロアルジア軍の前に降りると兵士達は武器を構えるが向かっては来ない。
ガルクの首を兵士達に投げると絶望した表情をみせる。
一人の兵士がガルクの首を拾いに近寄ると私は剣に魔力を込め兵士達に放つ。
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