破棄

22/51

623人が本棚に入れています
本棚に追加
/312ページ
(強いな) 時間にして数分の親善試合の後、北斗に言った。 他の三銃士とは明らかにレベルが違う男は私の言葉ににやにやと笑った。 「だろ?俺って天才って奴だからさ。」 北斗は刀を納め。近寄って来ると手を差し出し握手を求める。 「気に入ったよお前。ガキんちょだと思ってたがありゃ取り消すぜ。」 口に出して言わなければいいのに。 差し出された手を握ると北斗は残った手で私の頭を撫でた。 「純、友達になろうぜ!」 恥ずかしげもなく北斗は笑って言った。 ストレートにそう言われたのは初めてだが悪い気はしないものだな。 「なぁ、純。俺達の生きる場所は戦場だ。ロクな死に方はしねぇよな。」 最後に会ったのは半年程前だったか酒に酔ったのか北斗はいつもより真面目な顔で言った。 「どんな死に方でも構わないさ。それでも俺は仲間を守って死にてぇよ。何かを残したいんだ…」 わがままだな。 どんな死に方でもと言いながら北斗は自分の生きた証を残したいのだ。 (北斗、お前が死んだらやり残した事は私が請け負ってやる。) 北斗は大声で笑い私の背中を力一杯叩いた。 「そん時は頼んだぜ!親友!」 …馬鹿が。 本当に死んでどうする。 「起きましたか?」 目覚めるとルナが覗き込んでいる。 「…何か言ってたか?」 ずっと部屋にいたはずのルナに聞いた。 「大した事は言ってません。」 何か言ったのか… 窓から見える空は雲一つない澄みきっていた。 私は1日寝てたのか。 太陽の位置からして今は朝方か。 「ルナ、教えてくれ。」 昨日あれからルナは才蔵からガロアルジア国の情報を聞いたはず。 ルナは私の言葉をすぐ理解して話し始めた。 「ガロアルジア国は3つの都市と国王が住む王都の4つ。王都には軍の5割が集結し十傑が王を護衛している様です。」
/312ページ

最初のコメントを投稿しよう!

623人が本棚に入れています
本棚に追加