破棄

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「大丈夫です!北斗さんの分も俺は戦います!!」 才蔵さんにそう言って俺は城塞の外へ向かった。 兵士達の先頭に立ちガロアルジア軍を待ち受ける。 彼女が言った通り一時間経たずにガロアルジア軍は現れた。 …その数、約五万。 対する俺達は一万も満たない。 先の戦いでは10万いた兵もガルク率いるガロアルジア軍との戦いで随分と減った。 「俺に続けー!!」 地を蹴りガロアルジア軍に向かって行く。 戦場で小が大を喰らうには先手必勝しかない! ガロアルジア軍は遠征による疲労も抜けきってないはず。 何より圧倒的な兵力の差… 兵士達の士気が保たない。 長引けば押し込まれる! 鞘から刀を抜き真っ直ぐ向かってくる兵士達を一刀のもと斬り伏せる。 2、3人斬った所で流れは此方にはこない。 刀に魔力を込めガロアルジア軍の中へ飛び込む。 「殺せー!三銃士の吉影だ!!」 指揮官が吠えると兵士達が一斉に襲いかかって来た。 「うおおおお!!」 刀を大地に突き刺し 刀身に込められた魔力を解放する。 大地から無数の岩槍が生まれる。 「ぐあっ!」 岩槍に貫かれ数十人の兵士が絶命した。 しかし兵士達の勢いは止まらず次々と襲ってくる。 (おかしい。) ガロアルジア軍からは確かに恐怖に表情を歪ませている。 向かって来る兵士を一振りで3人切り捨てるがやはり止まる事なく襲ってくる。 普通なら一瞬だが動きを止めて警戒するものだかそれがない。 「嫌だ死にたくねぇよ!暢紀(ようき)様止めてくれ!!」 悲鳴に似た声を出して襲いかかってくる兵士の首を斬り飛ばす。 (どうなってる?!) 見れば周りの兵士達も命乞いをして戦っている。 (一体何が…) 「滑稽だね~!命乞いしたってアンタらはどうする事も出来ないんだ!黙って戦いなよ!」 声は上から聞こえた。 上空を見上げると甲高く笑う女性。 天女の様な格好をしているがその顔には何かの紋様を描いている為表情が読みづらい。 「何者だ!」 俺の問いに女は笑った。 「十傑の1人、暢紀って言うの。よろしく、坊や。」 十傑! 王都に残りの十傑は集結していると聞いたが…。
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