破棄

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「おいおい。どーなってんだ?」 純達と別れて2日後。 都市を殲滅しに来た私が見た光景はあたり一面焼け焦げた都市だった。 どこか別の国が攻めて来たか? それにしては死体は転がってないし何より血の匂いがしない。 まるでアンジェラの使う魔術の様に人が消えてる。 一体何がどうなってるやら…。 とりあえず都市を一通り回ってみるか。 建物は焼け崩れて原形を留めている物はない。 未だ燃えている建物の中へ入ってみるが別に何もない。 ダメだ。わかんねえや。ポケットに入ってる猫の顔が付いたアクセサリーに魔力を込める。 猫の目が左右に動く。 「ルナ聞こえるか?」 猫の口が開く。 (どうしました。) 「わかんねえ。」 (説明して下さい。) そりゃそうだ。 けど説明って言ってもな…。 建物の屋上まで飛び猫に街の状態を見せた。 (都市を殲滅した様ですね。では…) 「私が来た時にはこの状態さ。」 (詳しくお願いします。) 詳しくってもなぁ…。 私は死体がない事、血の匂いがしない事、都市を一通り見て回った事を話した。 (…燐。上空から都市を観て下さい。) ルナに言われ上空へと昇った。 …なんだこれ。 (燐。王都へ向かって下さい。) 「いや、待てよ。説明をしろよ!」 上空から都市を観た光景は人間の仕業でない事がわかる。 都市だけじゃなかった。 左を見ると海へと続く道まで右を見ると山の麓から全て焼け野原になっている。 (恐らく雷龍でしょう。) マジかよ…。 「龍っているんだな。」 (吸血鬼がいるんですから、おかしくないでしょう。) いやいや、龍と同じにしてもらってもねぇ。 「ルナ。私は軽く300年は生きてるけど見たことねぇぜ?」 竜と龍は全く違う存在だ。 龍は自然界のエネルギーの塊、或いはそれを統べる者。 竜はトカゲがでっかくなった位でしかない。 (私達がそんな事を話してもどうにもなりません。) そりゃそうだ。 通信を切って私は王都を目指した。
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