破棄

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3日後、ルナから連絡がきた。 アンジェラと燐はそれぞれ都市を殲滅し王都へ向かっていると。 私はルナに2人を城塞に戻す様に言ったが聞き入れてはもらえず通信は切れた。 「…随分と余裕だな!」 王都から近い見渡しのいい草原に両腕を切り落とされた男は息を荒げて吠える。 王都へ向かう途中に十傑と名乗る男達が待ち構えていた。 2人は既に絶命して残るは死にかけの男が一人。 「まだだ!まだこれからよ!!」 男は口に剣を加えて向かって来るが体を真っ二つにされ地に転がる。 ガルクと比べればあまりにも弱い。 私は剣を納めて王都へ向かう。 十傑はあと5人。 城塞へ攻めてきた軍勢の中にいた十傑はルナが倒したと言っていた。 (おかしい。) 王都に着いた私は城門の前にいるが… 門番がいない。 閉じられているはずの門は開けられて人の姿も見当たらない。 「ようこそ。宗谷隊長。」 声の主は私の前にゆっくりと降りてきた。 「はじめまして。ガロアルジア国十傑の長を務めている翡翠と申します。」 翡翠と名乗った男は礼儀正しく一礼をする。 「お会いできて光栄です。僕はあなたのファンでして。」 無邪気に笑うが隙がないな… それにどこか私と同じ匂いがする。 「お前、闇の特化型か?」 私の問いに翡翠は両手を広げ喜んだ。 「ええ、そうです!あなたと同じ特化型です!嬉しいですね、気づいてくれるとは!」 晶が言ってたな特化型は十万人に一人いるかいないかだと。 まして同じ属性の特化型と出会うなど何百万分の一の確率だろう。 「あなたとはいつか会いたかった…僕の闇とあなたの闇。一体どちらが上なんでしょうね!!」 翡翠は剣を抜くと一気に間合いを詰めた。 速い。 翡翠の剣を剣で受け止めた が、衝撃を殺せず吹き飛ばされた。 翡翠は魔力を剣に込め放つ。 黒い刃が私を襲う。 地を蹴り羽衣の能力で宙に浮き刃を避ける。 ドン! 翡翠の放った黒い刃は王都の三分の一を消し去った。 「街中でもお構いなしか。」 殲滅しに来た私が言うのもおかしいが翡翠はこの国の軍人。 守るべき街のはずだが。
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