首席とおちこぼれと天才と

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あれから三日が過ぎ今日は軍隊学校の入学式。 私も参加するために用意された隊長席に座っている。 「純」 私は声の主をみる 「少し時間いいかしら?」 彼女の名前は 水瀬 かぐや 8番隊の隊長を務めている。 艶やかな黒髪。少し目のつり上がった色白で整った顔立ち。 軍服も彼女が着ると何故か色っぽく見える。 「ああ」 彼女に連れられ式場の外に出る。 「用はなん……」 かぐやに顎を砕かれる程強く握られ言葉が途切れた。 「三日前、ルナと食事に行ったそうね?」 「……別にいつもの事だろ?」 ルナとは付き合いが長い食事に誘うなどいつもの事だ。 何より私とルナは…… 「別にその事はいいの。…ただ一度断ったルナをどうして誘ったの?」 体が地面から離れる。 「私をエサにしてまでルナと食事がしたかったの?」 ……苦しい。顔は笑っているのに瞳が笑ってない。 「ちょっと待て。ルナが言ったのか?」 「二日前、晶が珍しく私の家に遊びに来たのよ。その時、晶があなた達のやり取りを偶然見かけたらしいわ」 かぐやが胸ポケットから紙を取り出し私に見せる。 「晶からあなた宛の手紙よ」 それは私にしか読めない様、特殊な加工を施した紙で書かれていた。 『女の子の部屋に勝手に入って来た罰だよ~ん( ̄∀ ̄)』 「……」 「私も鬼じゃないわ」 かぐやの瞳の色が変わり髪がふわっと浮き上がる。 「一発殴らせてくれたら許してあげる。」 冗談じゃない。かぐやの膂力は…… 「許さなくていいから殴らない選択は……」 ドガッ!! 壁に顔がめり込んだ。 かぐやは鼻息を鳴らして式場に戻って行った。 (ざまぁ) 感情のこもってない晶の声が聞こえた。 晶…。いつか殺す。 壁に抱擁された私は深く心に誓った。
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