首席とおちこぼれと天才と

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やる気を削がれた私は式をサボる事にした。 本音を言うとかぐやに殴られ顔が二倍に腫れているからだが。 こんな情けない姿を人前に晒したくはない。 ああ…。後で爺に怒鳴られるかな。 そんな事を考えながら私は携帯を取り出した。 掛ける相手は私の部下の一人。 「どうしたのー?式始まっちゃうよー?」 式場にいる為か小声で話している。 「ちょっと暴漢に襲われてな。すまないが三番隊の教室まで来てくれるか?」 「暴漢ー?……ああ、かぐやさんかー。わかった今から行くよー」 「頼む」 電話を切り部下が来るのを待つ。 5分も経たず勢いよくドアが開けられた。 「おまたー」 「よう」 彼女は数少ない私の部下の一人。 名前はアンジェラ。 年は私と一回り違うが同年齢と言われても納得する程幼い顔立ちだ。 栗色の髪を左右に束ね背は私の肩程しかない。 私の顔をみて苦笑いする彼女。 「ありゃー。酷くやられたねー」 「……出来れば早く直して欲しい」 「はいよー」 彼女は私を中心に魔法陣を展開する。 優しい光に包まれ頬 の痛みが薄れる。 「理由は知らないけど後でちゃんと謝っとくんだよー」「謝るのはかぐらの方じゃないのか?」 晶がどういう風に言ったのか知らないが完全なかぐやの誤解だ。 「草食男子のご時世。男が謝るのが夫婦円満の秘訣だよー」 「私は草食ではない謝る気もない」 「頑固者は嫌われるぞー」 「今更一人二人に嫌われてもどうって事はない」 「むー」 魔法陣が消えた。 治療が終わったようだ。 殴られた場所を触ると腫れはなくなり痛みもない。 「相変わらずいい仕事だな」 アンジェルは自信満々に胸を張る。 「当然!!」
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