首席とおちこぼれと天才と

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彼女は回復系の魔法に長けている。 この程度のケガなら瞬時に治す。 治療の出来ない私には羨ましいかぎりだ。 「あのねー。言っちゃ悪いけど、かぐやさんと純。全然釣り合ってないよー?」 「だろうな」 かぐやは綺麗だしな。 「わかっているなら大事にしないとねー」 「努力する」 『電話だよー電話だよー』 携帯が鳴る。 相手は爺からだ。 「でないのー?」 音量を下げ携帯に出ない私にアンジェラが言う。 「ああ。今更式場に戻るのも面倒くさい」 「じゃ。私もサボるー」 アンジェラは教官用の席に座るとタバコに火を付けた。 「吸う?」 「タバコは二十歳になってからだ」 「あはは」 何がおかしいのか声を出して笑うアンジェラ。 「まだ私の声を使ってるのー?」 携帯の話しだろう。 私の着信音はアンジェラが設定した。 「やり方がわからないし。別にこのままでいい」 「かぐやさんに見つかるとまた殴られるよー?」 「そんな事で怒りはしない」 と思う。 正直何がかぐやの地雷なのかがわからないから困っている。 「お前入れよ」 「お前が行けよ」 「誰でもいいから入ってよ」 外が騒がしいもう式は終わったのか。 教室の前には生徒達だろう、誰が先に入るのかで揉めている。 「教室に入るだけで何をしているんだ」 こいつらの中に果たして私の隊で使える奴がいるのか不安になる。 「まあまあ。みんな緊張してるんだよー」 タバコの火を消し携帯用の灰皿に吸い殻を入れるとドアに向かい歩くアンジェラ。 「ようこそ三番隊へー」
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