首席とおちこぼれと天才と

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…この国は滅びるのだろう…。 入隊式当日、式場の中に彼女を見つけた。 彼女は私に向かい戸惑いながらも笑い掛けるが無視した。 どんな基準で選考したのだろうか。 周りをみると私と同じ様に不満を顔に出している生徒がちらほらいる。 当然でしょうね。この国最強の部隊風雅。 その隊長は他国にも名を轟かす。 中でも総大将 [剛拳]轟 鉄心 一番隊隊長 [剣帝]天空院 昴 二番隊隊長 [最強]曲 カット(まがり かっと) 三番隊隊長 [悪夢]宗谷 純 この4名はバルデスの7人の英雄と謳われる程の人物達だ。 彼らに憧れ兵士を目指す者は少なくない。 事実、面接試験の動機の多くがそうだった。 そんな生徒達からすれば彼女を含め能力の低い者がいる事など堪えれない。 『これより、入隊式を始める』 司会の兵士が始まりの言葉を言うと私は背筋を真っ直ぐ伸ばした。 式は滞りなく進んでいく。 総大将が挨拶をし各隊長を紹介。 何故か二番隊と三番隊の隊長は出席していない。 その後、各隊長が生徒を一人ずつ呼び退室する。 全ての隊長達が退室した中、数名の生徒達が残される。 その顔には不安の色が浮かぶ。 私も呼ばれなかったのでその場で待機していた。 『呼ばれなかった者は全て三番隊に配属される。速やかに教室へ移動するしろ』 司会の兵士に告げられると数名の生徒達が青ざめる。 二番隊への配属者はいないの?そんな事を考えながら私は退室する為席を立つ。 振り返ると見知った顔が目の前にいる。 「り、涼子ちゃん。同じ隊だね。よろしくね!」 …。 何故彼女の様な落ちこぼれが最前線の三番隊に配属なのかわからない。 「話しかけないで」 彼女を一瞥し退室した。
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